従来型のがん検診とPET検査

日本人の死因としては、がんがトップに位置しており、これは昭和56年からずっと今日まで続いている傾向です。そこで、国や自治体ではがん検診の受診を国民に対して広くはたらきかけていますが、こうしたがん検診の基本的なメニューとしてまず思い浮かぶのは、胸部などのエックス線撮影といったものです。エックス線撮影は、放射性を用いた撮影で体内のようすを確認するもので、がんになっている部分は白い影として写ることから、たしかに有効な手段であるといえます。しかし、がんができる身体の部位というのは、胃、肺、大腸、肝臓、咽頭、喉頭、食道、前立腺など、かなり幅広いものがあります。

そのため、もしエックス線撮影だけでがんを見つけ出そうとするならば、胃部レントゲン、胸部レントゲンなどの部位に応じた撮影を繰り返さなければならず、単純に手間がかかるという以上に、放射線へのたびかさなる被曝による身体への悪影響も懸念されます。そこで、従来のようながん検診にかわって行われるようになってきているのが、PET検査とよばれる新しい方法です。このPET検査では、がん細胞はブドウ糖を過剰に消費するという性質にもとづき、ブドウ糖に似た構造の放射性の薬剤を体内に注射した上で撮影をするもので、1回の検査で全身にわたってがんの有無を判断することが可能となるすぐれたものです。もし専門の医師を配置しているような病院であれば、検査結果を当日中にも教えてもらうことも可能です。